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富士通コンサートシリーズ
シンシナティ交響楽団

出演アーティスト

シンシナティ交響楽団/Cincinnati Symphony Orchestra

シンシナティ交響楽団は、世界の優秀な演奏家から成る精力的なオーケストラである。1895年に設立され、アメリカでは5番目に、オハイオ州では最も古いオーケストラである。

同世代でもっとも人気の高い指揮者、パーヴォ・ヤルヴィが2001年9月に第12代の音楽監督に就任。シンシナティ響の指揮台における精力的なリーダーシップは国際的な注目を集め、シンシナティの歴史的なミュージック・ホールに新しいアーティストを惹きつけ、一貫して批評家の賞賛を浴びてきた。

楽団の歴史には、レオポルド・ストコフスキー、ウジェーヌ・イザイ、フリッツ・ライナー、マックス・ルドルフ、トマス・シッパーズ、ヘスス・ロペス=コボスなどの音楽監督の名が並ぶ。ドビュッシー、ラヴェル、バルトークなどの作品がシンシナティ響の演奏でアメリカ初演されているばかりか、アーロン・コープランドの「市民のためのファンファーレ」など、シンシナティ響が作曲家に委嘱した作品がクラシック音楽の重要なレパートリーとして定着しているケースもある。

シンシナティ響は国内外で演奏旅行を行なっており、グラミー賞受賞のTELARC レーベルと豊かな録音の歴史を持つ。ヤルヴィ指揮では、ショスタコーヴィチの交響曲第10番とヴェリヨ・トルミスの交響曲第2番を併録した最近のものを含め、TELARCから15枚のCDがリリースされている。彼らの録音は常に高い評価を得ており、2008年にはムソルグスキーのCDでグラミー賞の「ベスト・サラウンド・サウンド」を受賞、また2006年にはブリテンとエルガーでプロダクションとエンジニアリングの二つの賞に輝いた。

シンシナティ交響楽団は、エリック・カンゼルを指揮者に擁するシンシナティ・ポップス・オーケストラを統括する上部機関でもある。シンシナティ五月祭とシンシナティ・オペラの公式オーケストラも務めており、1984年にオハイオ河岸にオープンしたリヴァーベンド・ミュージック・センターを夏限定のベースとして有している。

2003年6月に全国放送されたパーヴォ・ヤルヴィの就任記念コンサートを始め、シンシナティ響とシンシナティ・ポップスの演奏は、これまでに推定3000万人がPBSの全国放送で視聴している。

パーヴォ・ヤルヴィ (音楽監督・指揮)/Paavo Järvi  (Music Director, Conductor)

エストニアの首都タリン生まれ。1980年渡米。カーティス音楽院に学び、ロサンゼルスではバーンスタインに師事。ロイヤル・ストックホルム・フィル、及びバーミンガム市響で首席客演指揮者を歴任した後、2001年からシンシナティ交響楽団の音楽監督を務め、その契約は2008年~2009年のシーズンまで延長された。2006年にフランクフルト放送響の首席指揮者となり、熱い注目を集めている。現在シンシナティ交響楽団の音楽監督のほか、ドイツ・カンマー・フィルの芸術監督及びエストニア国立響の芸術顧問も兼任。

2009年~2010年のシーズンよりパリ管弦楽団の首席指揮者に就任。

クリスチャン・ツィメルマン (ピアノ)/Krystian Zimerman (Piano)

ポーランドのサブジェに生まれる。1975年にはショパン国際ピアノコンクールに史上最年少の18歳で優勝して、一躍世界の音楽界に知られる存在となった。バーンスタイン、カラヤン、ブーレーズ、ジュリーニ、マゼール、小澤征爾、ムーティ、ラトルら多くの卓越した指揮者と共演している。CDはドイツ・グラモフォンの専属契約の下に数多くの権威ある賞を受賞している。

近年日本における活動では、ギドン・クレーメルとのデュオ・コンサート(2007年)や、チョン・ミョンフン指揮/東京フィルハーモニーとの共演(2008年11月)で、ツィメルマンに捧げられたピアノ協奏曲(ルトスワフスキ作曲)における名演奏が大きな話題となった。


庄司 紗矢香 (ヴァイオリン)/Sayaka Shoji (Violin)

1999年パガニーニ国際コンクールにコンクール史上最年少、かつ日本人として初めて優勝。以来世界最高の指揮者やオーケストラに招かれて定期的に演奏している。ザルツブルク復活祭音楽祭にヤンソンス指揮/ベルリン・フィルと共に出演し、2004年にはコリン・デイヴィス指揮/ロンドン響の創立100周年記念のアジア・ツアーにソリストとして参加し、ロリン・マゼール指揮/ニューヨーク・フィル共演でニューヨーク・デビュー、その後日本公演にも参加した。ソリストとしての活動に加え、リサイタルのほか、多くの著名演奏家との室内楽も定期的に行っている。これまでガヴリーロフ、ウーギ、ミンツ等に師事、ケルン国立音楽大学においてザハール・ブロンに師事、2004年の卒業後はヨーロッパを本拠地に定めた。

使用楽器は日本音楽財団が提供するストラディヴァリウス「ヨアヒム」(1715年製)。

解説/宇野功芳(音楽評論家)

ヤルヴィ指揮シンシナティ交響楽団の「幻想交響曲」をサントリーホールで聴きながら、目のくらむような思いをしたのはそんなに昔のことではない。そのコンビがまた来日するのだ。あの絢爛たる色彩美はいったい何だったのか。普通のオーケストラが出せる音ではない。まるで魔法だ。ぼくはあんな響きを今まで耳にしたことがなく、《ヤルヴィは指揮者になるために生まれてきた男だ》と心の底から実感したのである。

耳の良い指揮者、統率力のある指揮者は他にもたくさん居る。セル、ブーレーズ、マゼール等々。でも彼らの出す音はとてつもなくうまいオーケストラの出す音。ヤルヴィの魔法はそれをはるかに超えているのだ。

今回のコンサートでもバーンスタインの「ディヴェルティメント」やガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」(ツィメルマンのソロも最高であろうが)でいやというほど味わえるだろう。メインの「新世界」も聴きものだが、このポピュラー曲をどのように料理するのか、ぼくには見当もつかない。でも、他の一般の演奏とは一味も二味もちがった、斬新でユニークなものになるであろうことは間違いない。

最近のCDではラフマニノフの2番が同曲のベスト・ワン。ヤルヴィのスコアの読みは細かく、強弱は絶えず移り変り、アクセントは効き、細かい動機やフレーズが緻密に生き、表情の急変がすばらしい。詩情にあふれ、ハーモニーには熱い情感が宿る。第3楽章の春のため息はいつまでもつづいてほしいと願いたくなる。美しい美しいラフマニノフ。これが本当に東京で聴けるのか!