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富士通スペシャル 100 GOLD FINGERS
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日・米・欧のジャズ・ピアノ合戦! 「富士通スペシャル 100 GOLD FINGERS」

 1990年の初公演以来、毎回ファンを湧かせてきた10人のジャズ・ピアニストによる豪華コンサート、「富士通スペシャル 100 GOLD FINGERS」の2005年度第9回目の出演者とその日程が決まった。いまや日本ジャズ界恒例のイベントにまで発展したこの人気公演、初回から連続出演記録を更新中の大御所たち──ジュニア・マンスとレイ・ブライアント、それにケニー・バロンはうれしいことに今回も来日が確定した。話題はなんといっても、日本が生んだジャズの人間国宝的存在、秋吉敏子が紅一点として登場することだ。シリーズ初の試みとしてヨーロッパ・ジャズ界からイタリアの精鋭ダド・モロニが抜擢されたのもタイムリーな企画として注目されそうだ。これに準レギュラー的メンバーのシダー・ウォルトンとドン・フリードマンというベテランに伍して、サイラス・チェスナット、ベニー・グリーン、エリック・リードという新世代三羽烏が参加する。

 「富士通スペシャル 100 GOLD FINGERS」のステージを通じて、いまや伝説になりつつある“不滅のブルース・ブラザーズ”──ジュニア・マンス(76歳)とレイ・ブライアント(73歳)がコンビで繰り広げる名物のデュオ(連弾)は絶対聴き逃せない。毎回、<スロウ・フレイト>や<ブルー・モンク>で聴かせるブルースの深い味わいは文句なしに絶品だ。30年間にわたって結成していたビッグ・バンドを解散して“ピアノに専念する”と宣言した秋吉敏子は最新作「ニューヨーク・スケッチ・ブック」をひっさげての参加。ニューヨークを主題にした<52番街のテーマ>などでバド・パウエル譲りのバップ・ピアノの神髄を聴かせてくれるはず。このあと年齢順で続くのは流麗なスタイルを誇るシダー・ウォルトン(71歳)と「サークル・ワルツ」で不動の人気を保つドン・フリードマン(69歳)。ともに円熟の世代だが、ウォルトンはいまが脂の乗り切った絶頂期、フリードマンも最近はVIPトリオで人気再燃中だけに、若手が脱帽するベテランの境地を聴かせてくれそうだ。新主流派の守護神ケニー・バロン(61歳)もエレガントなピアノ・サウンドにますます磨きがかかってきた。今回は新作「イメージズ」でも演奏しているウエイン・ショーターの名曲<フットプリンツ>などが聴けそうだ。

 来日する10人のピアニストではサイラス・チェスナット(42歳)、ベニー・グリーン(41歳)、エリック・リード(34歳)という3人はいまが旬の真っ盛りというピアニスト。彼らが三人三様のタッチとテクニックでベテラン勢の牙城にどこまで肉薄するかも見もの聴きものだ。ベニー・グリーンとエリック・リードの二人は過去のステージでは<パーディド>などのエリントン・ナンバーで大ハッスルする場面を見せてファンから大きな喝采を浴びてきた。今回はどんな秘策で楽しませてくれるかに期待がかかる。

 一方、ともに42歳同志というイタリアのダド・モロニと本場アメリカの若き巨人サイラス・チェスナットの“競演”も大いに興味をそそられるところだ。ダド・モロニはベースの巨人ロン・カーターやトランペットの大御所クラーク・テリーが絶賛した独学の天才肌で、1987年には有名な新人登竜門「モンク・コンペ」の審査員を務めたほどの実力派。同じ世代のサイラス・チェスナットとしても負けるわけにはいかないはずで、巨体を揺すってパワー全開のプレイを聴かせてくれそうだ。
 今回の「富士通スペシャル 100 GOLD FINGERS」は、はからずも日・米・欧代表による国際ジャズ・ピアノ合戦の趣を呈してきた。華やかなステージが今回は一層、盛り上がることになりそうだ。

児山 紀芳 (ジャズ評論家)

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