掲載媒体:日本経済新聞
掲載日:2001年3月27日
兵庫県川西市黒川。かつて栄えた産業を今に伝える炭焼釜のすぐそばに、とりわけ大きな<台場クヌギ>がありました。その独特の形は、暮らしを支えてきた数百年もの時が育んだもの。それは人と自然が共生する、この土地ならではの風景です。富士通の技術サポートによって実現したネット博物館では「人と自然の共生」をテーマにしたさまざまな風景がインターネットで体験できます。
兵庫県南西部に位置する北摂は、昔から良質の炭の生産が盛んに行なわれてきた地域です。
ここではクヌギの木を2m程の高さで切り、そこから再生される枝を約10年ごとに炭の原料としてきました。一般に<台場クヌギ>と呼ばれ、大きく膨らんだ不思議な形状は、長い年月のそうした繰り返しから、できあがったもの。夏になるとその膨らみにできた割れ目に溜まった樹液を求めて、たくさんの昆虫が群がります。
暮らしに暖を供し、生き物を育んできた台場クヌギの様は、人と自然の関わりあいを象徴する兵庫の風景として<兵庫県立 人と自然の博物館>に展示されています。
見る。調べる。知る。同博物館は、「人と自然の共生」をテーマに1992年に開館。独自の調査・研究成果に加え、環境や自然科学のシンクタンクとして重要な役割を果たしている県立姫路工業大学の豊富な調査・研究成果を活用して、展示を行っています。
さらに富士通の技術サポートでデジタル化された学術データの一部は、自然界についてのさまざまなジャンルにお応えする検索サービスをはじめ、バーチャルミュージアムなど、インターネットでも公開されています。
バーチャルミュージアムはコンピュータが拓く新しい試みの一つで、インターネットで館内に入り、自由に移動しながら、博物館見学を体験できるもの。たとえば<台場クヌギ>を正面から見あげたり、近寄ってのぞきこんだり、そこに集まる虫の声を聞いたり、調べたり…などが思うままに行えます。最近では、学校の授業の一環として採り入れる例も増えています。
自然科学をもっとおもしろく、身近にするネット博物館。富士通の最先端技術は、見えないところで、今日も働き続けています。
博物館情報システムは、<兵庫県立 人と自然の博物館>が所有する73万件もの膨大なデジタルコンテンツを支える中枢。収蔵品・図書文献の管理、自然環境情報、景観情報ほか、各種検索、バーチャルミュージアム、遠隔授業などを司る広報、研究支援などから構成されています。富士通は、ハードウェア、ソフトウェア、データベースなどの開発からメンテナンス、セキュリティーを支援。利用者のニーズに柔軟に応えられるサービスで、知的資産の共有を目指すネット博物館を最先端技術でサポートしています。
兵庫県立 人と自然の博物館