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麻木
本日は牛乳や乳製品などのメーカーとして知られる日本ミルクコミュニティさんにお邪魔しました。「MEGMILK」ブランドや「メグミルク牛乳」の赤いパッケージも、すっかり浸透した感がありますが、実は設立からまだ5年なのですね。
本橋
全国農協直販(株) ・雪印乳業(株)市乳事業部門・ジャパンミルクネット(株)の統合が実施されたのが2003年1月ですから、もうすぐ丸5年になりますね。現在は「メグミルク牛乳」「毎日骨太3つのチカラ」などの牛乳・乳飲料をはじめ、ヨーグルト「ナチュレ恵」「牧場の朝シリーズ」、天然果汁・野菜飲料「農協果汁」「農協健康菜園」、デザート、生クリームなど、様々な製品の製造・販売を行っています。
麻木
社名に「コミュニティ」を掲げられたというのは、何か特別な思いがあったのですか。
本橋
当社では「自然からお客様までのミルクコミュニティを育み、明るく健やかなくらしに貢献します」を企業理念としています。「ミルクコミュニティ」とは、お客様やお取引先、販売店、生産者はもちろん、牛や大地とも共生して、自然で健康的な価値を生み出す有機的なネットワークのことです。このコンセプトを着実に推進していくためにも、社名にコミュニティを掲げたのです。

麻木
単にメーカーとして商品をつくるだけでなく、豊かなコミュニティを築いていくことが重要というわけですね。考えてみれば、牛乳ってとてもコストパフォーマンスの高い商品ですよね。これだけ栄養価が高い飲み物なのに、いつでも手頃な価格で買うことができます。
本橋
やはり乳牛も生き物ですので、天候や気温の影響によって生産量が左右されます。とはいえ、消費者の皆様に新鮮な商品をご提供するのが当社の使命ですから、いつでも皆様の食卓に届けられるよう安定供給に努めています。
麻木
生産者やメーカーの方々の努力には、本当に頭が下がります。しかも最近ではいろんな健康飲料が出ていますから、市場での競争や商品開発も大変なのではないかと思います。
本橋
当社でもお客様のニーズに応えるべく、総力を挙げて商品開発に臨んでいます。たとえば、新商品の乳酸菌飲料「きらぷる」には、コラーゲン1000mgと話題の新素材NAG(N-アセチルグルコサミン)500mgが含有されています。一般にグルコサミンは錠剤などにして販売されるケースが多いのですが、当社はすっきりと飲みやすい飲料の形で提供し、ご好評をいただいています。
麻木
今回、経営面でも、いろいろな取り組みを実施されているそうですね。特に、新しい経営統合システムを構築されたと伺いました。これにはどのような理由があったのですか。
本橋
先にもありましたが、当社は3社事業統合によって設立された企業です。しかし準備期間が少なかったこともあり、従来は旧社のシステムをそのまま利用して受発注などの業務を行ってきました。このため2006年度で2000億円強の売上があるにも関わらず、販売情報などの経営に不可欠な情報が、月次ベースでしか把握できなかったのです。
これからの時代にふさわしいスピード経営を実現していくためには、様々な情報をリアルタイムに分析・活用し、迅速かつ柔軟に事業戦略を立てる環境を構築する必要があります。そこで中期3ヵ年計画の重要な柱として、新経営統合システム「MEGMIS(メグミス)」の開発に着手したのです。

麻木
新経営統合システムを構築する上で、ポイントになった点などはありますか。
本橋
システム開発におけるキーワードとして、
「1.経営の意思決定に必要なデータの正確、迅速な提供」
「2.経営環境、技術環境の変化への柔軟性確保」
「3.業務の統一化を図り、効率的な業務執行を行う」
「4.リアルタイム処理による迅速な業務執行環境の提供」
「5.情報管理、情報分析によるビジネス戦略の確立」
「6.情報システムのセキュリティ強化と日本版SOX法対応」
「7.適切なシステム運営体制の構築」
「8.関連会社も利用可能なシステムの拡張性確保」
の8項目を掲げました。旧3社で別々だった業務プロセスを統一し、毎日発生する業務情報を経営層や現場が有効に活用できるようにすること。また、セキュリティやコンプライアンスが確保できる仕組みを構築することなどが主な目的です。
麻木
なんでも800ページにも及ぶ要求定義書を作成されたと伺ったのですが、それは本当なのですか。
本橋
本当です(笑)。8項目のキーワードにも示されている通り、今回の開発には将来に向けた経営基盤を確立するという明確な目的があります。しかも当社のビジネスのあらゆる領域に関わってくるため、とても数枚程度の要求定義書では要件を伝えられません。必要な事項をすべてまとめていったら、これだけのボリュームになってしまったのです。

麻木
その期待に応えたのが、富士通だったというわけですね。
本橋
今回のプロジェクトではマルチベンダー体制を敷いていますが、800ページの要求定義書に対する提案をベンダー5社に対して求めたところ、特に基幹業務の領域については、業務統一化や効果的なシステム連携、高信頼・高可用性の確保など、富士通の提案が当社のニーズに一番フィットしていました。そこで営業システム・生産物流システム・人事労務システム・財務システムなどの基幹システムを、富士通に任せることにしました。
麻木
一連のシステムに対しては、具体的にどのような点を求められたのですか。
堤
当社では牛乳やヨーグルトなどのチルド商品を毎日製造していますので、タイムリーな情報提供が求められます。そこで、現場担当者に情報が渡るまでのスピードの速さを重視しました。この要件を実現するために、営業システムと生産物流システムには「Interstage Application Server」を採用し、アプリケーションを独自に作り込んでいます。パッケージなどではどうしても製品に業務を合わせる形になってしまいますが、自社開発ならそうした問題もありません。またInterstageには様々な業務コンポーネントを集めたフレームワークが提供されているため、短期開発を実現する上でも効果がありました。さらに「Interstage Collaboration Ring」も導入し、各業務システム間で円滑なデータ連携を行うための基盤として活用しています。
麻木
ビジネスを支える大事なシステムですから、安全性や信頼性も重要なポイントではないかと思いますが。
堤
その通りです。当社の工場は24時間365日動いていますので、障害などでシステムを止めるわけにはいきません。そこで注目したのが、日本最大級のデータセンターである富士通の館林システムセンターです。この施設を利用すれば、システムのセキュリティや業務継続性を確保する上で大きな効果が見込めます。
私たちも実際に見学させてもらいましたが、耐震構造や非常用電源設備など施設そのものの堅牢さはもちろん、警備体制も非常にしっかりしていて感心しました。また、システム面でも、マルチベンダーの機器構成に対応できる上、24時間・365日の運用監視体制が用意されているなど、多くの利点がありました。 さらに、統合運用管理ツール「Systemwalker」も活用し、機器やネットワークの障害だけでなく、システムのパフォーマンスについても監視しています。万一故障などが生じた際も、館林システムセンターのスタッフがすぐに対応してくれますので安心ですね。
サーバについてはシステム要件に応じて「PRIMERGY」と「PRIMEPOWER」を使い分けていますが、重要性の高いシステムについてはクラスタ化を行ったり、予備の待機サーバを用意するなどして信頼性・可用性の確保を図っています。ちなみに、ストレージの「ETERNUS」を含め、本稼働開始以来トラブルはほとんど起きていません。富士通製品の品質についても、大いに満足しています。

麻木
システムの導入効果はいかがですか。
谷
いずれのシステムにおいても、結果の確認が1~5日ほど早く行えるようになりました。特に営業部門では、取引先別の収支を含めた実績の確認が、最大で5日間短縮できています。営業の最前線においては、お客様の嗜好やニーズの変化をいち早くキャッチし、素早いアクションを起こしていかなくてはなりません。その点現在では、「次の一手」を打つための戦略ミーティングなどが、迅速に行えるようになりました。
また、生産現場や管理系の担当者からも、「Interstage List Creator」と「Interstage List works」で構築した電子帳票システムによって、過去データの検索が容易になり業務負荷軽減が図れたと好評です。さらにこの電子帳票システムについては、従来は社内全体で月に約10万枚もの帳票を出力していたのですが約5万枚を削減し、ペーパーレス化/環境対応の面でも、大きな効果が上がっています。
麻木
以前は月次ベースでしか売上などが把握できなかったということでしたが、この点も大きく変わったのですか。
谷
現在では各システムの情報を毎日取り込んでいますので、様々な情報をタイムリーに分析・活用できます。また月次決算の日程についても、以前より最大で5日短縮することができました。これにより、意思決定のための情報を迅速に用意できるようになりました。
もっとも、様々な情報が活用できるようになると、今度はセキュリティの問題がクローズアップされてきます。そこで「Interstage Portalworks」を導入し、社員一人ひとりの権限に応じたポータル画面を作成しました。利用権限のないシステムやデータは最初から画面に出ないため、大幅なセキュリティの強化が図れました。また、業務をワークフロー化してイレギュラーな業務処理が行われないようにするなど、内部統制強化、日本版SOX法対応に向けた取り組みも盛り込まれています。
麻木
新経営統合システムは、今後の経営戦略にとって、強力な武器になってくれそうですね。
本橋
システムを活用することで、従来よりも多面的な切り口で事業管理が行えるようになりました。たとえば、これまで実施してきた事業部別の収益管理に加えて、生産活動や販売活動など活動別管理も行えます。工場から物流に至るまでのプロセスにおいて、どこで、どのように原価が使われているかといったことが、正確・迅速に管理できるわけですね。これはいわゆる「ABC(Activity Based Costing:活動基準原価計算)」の考え方ですが、将来的には「ABM(Activity Based Management):活動基準管理」へと発展させていきたいと考えています。今回の新経営統合システムは、そのための重要な基盤になるのです。他社にはない特長を備えたシステムだけに、ビジネス特許も申請中です。
麻木
今後はどのようにシステムを発展させていかれますか。
本橋
まず、経営戦略や市場環境の変化に合わせて、柔軟にシステムを変化させていくということが一つあります。それともう一つは、安心安全の追求です。情報セキュリティだけでなく、トレーサビリティなど食の安全に向けた取り組みも重要なテーマです。2次開発ではその一貫として、品質問題が生じた時に、ボタン一つで出荷を止められるような仕組みも開発しています。こうした活動を通じて、お客様からの信頼に応えていきたいと思います。
もちろん、このような取り組みはIT抜きには実現できませんから、今後の富士通の提案にも大いに期待しています。
麻木
新経営統合システムにかける皆さんの熱い思いが、ひしひしと伝わってきました。本日はどうもありがとうございました。
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