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麻木
本日は、東海地区を中心に事業を展開し、「地銀の雄」としても知られる静岡銀行さんにお邪魔しました。ここ十年ほどの間は、金融機関にとっても非常に厳しい時代と言われてきましたが、静岡銀行さんのビジネス環境はいかがですか。
飯尾
「失われた十年」などという言葉もある通り、全国的にはかなり厳しい状況に直面した金融機関も少なくありません。しかし私どもでは、そうした景気の影響をそれほど受けずに済んでいます。当行の地盤である東海地区には大手の製造業なども多く、経済活動も非常に活発です。そのおかげで安定した経営体質を築くことができています。もちろん当行のスタッフも全力で業務に取り組んでいますが、このように地域やお客さまに恵まれたという要素も大きいですね。
麻木
最近では市場での競争もますます激しくなっていると思いますが、今後に向けて力を入れている取り組みなどはありますか。
飯尾
麻木さんもご承知の通り、最近では異業種からの参入やインターネット専業銀行など、新しい動きが次々に出てきています。もともとは、資金の仲介役を果たすことが銀行の基本的な役割ですが、今後はそれだけでは不十分です。多様化するお客さまの金融ニーズに、いかにお応えしていくかが重要な課題になります。当行も金融に関わるソリューションを幅広く提供できる企業へと進化したいと考えています。
また、もう一つ重要なポイントは地域密着です。当行は地方銀行ですから、東海地区のお客さまが常に高水準の経済状況を維持して頂くことが非常に重要です。企業理念に「地域とともに夢と豊かさを広げます」と掲げている通り、地域のお客さまと当行とが一緒になって成長していければと思います。

麻木
なるほど。今回は営業店システムを再構築されたと伺いましたが、その企業理念も関係しているのですか。
飯尾
一人ひとりのお客さまに最適な金融ソリューションをご提供する上では、様々なご相談に応じたり、適切なコンサルティングをさせて頂くための環境が必要です。具体的には、お客さまのためのスペースを広げ、よりスピーディーなサービスをご提供できるようにしていかなくてはなりません。しかし、銀行の営業店と言えば、ロビーよりもカウンター奥の事務スペースの方が広いケースも少なくありません。
麻木
そういえば銀行へ行くと、よくカウンターの奥でスタッフの方が伝票を持って忙しそうに動かれていますね。
飯尾
従来型の業務プロセスでは、窓口の担当者がお客さまと応対した後に、後方で処理を行っていたため、そうならざるを得なかったのです。しかし営業店のスペースやスタッフの時間を、より多くお客さま対応のために使うには、こうした今までの業務プロセスを抜本的に改革する必要があります。そのための施策が、今回の新営業店システムの構築だったわけです。

麻木
実際にはどのような形で改革を進められたのですか。
弓岡
営業店の第一線であるカウンターでできるだけ処理を完結させ、後方での事務処理へ廻さないというのが基本コンセプトです。窓口完結型のプロセスが実現できれば、窓口後方の事務スペースやスタッフは不要になり、ロビーやコンサルティングのためのスペースをより広く取ることができます。このコンセプトを実現するために、新営業店システムには様々な効率化・自動化の仕組みを盛り込みました。
たとえば、お客さまから受け取った伝票を非接触型イメージスキャナでイメージとして読み込み、データ入力も行っています。これを窓口の担当が手入力した数値と比較することで、間違いがないかチェックも行います。また、「検印」と呼ばれる役職者による承認作業が必要な場合も、伝票のイメージデータをそのまま転送して画面上でチェックします。このため従来のように、伝票を持って席を立つ必要がありません。こうしたイメージデータの活用によって、大幅な入力レス/判断レス化が図れました。
麻木
それはすごい!伝票に検印してもらって席に帰ってくる作業でも、一日分積み重ねれば相当な時間になりますものね。
弓岡
入力画面を呼び出す作業なども、従来はそれぞれの伝票ごとに指定されたコードをまず手入力する必要がありました。しかし現在では伝票に印刷されたコードをシステムが読み込み、必要な画面を自動的に呼び出してくれます。このため派遣やパートタイマーの方などでも、迷わずに作業を行えます。ちなみに印影の照合作業なども、システム側で自動的に行えるんですよ。
麻木
ええ!印鑑を押す時って、朱肉がうまく付かなくてかすれたり、天地を逆に押しちゃったりしがちですが、それでもちゃんとチェックできるんですか。
弓岡
そうした際にもシステム側でイメージを補正して照合し、一致している場合は「青」、少し怪しい場合は「黄色」、全然違う場合は「赤」と色分けして表示します。このようにシステムが補助してくれることで、効率も上がりミスも減るというわけです。
麻木
銀行業務の中には、難しい金融の専門知識が必要なものもあると思いますが。
飯尾
そこも今回の新営業店システムで大きく進化した部分です。為替関連業務や届出関連業務など、複雑な業務については、営業店内部ではなく事務センターで集中的に処理することにしました。ITの進歩によって、伝票のイメージデータなどをネットワークで送れるようになったため、従来は各営業店の後方で処理していた業務を事務センターに集約することで作業と知識の分担が実現し、効率化を図れたのです。

麻木
なるほど。それなら窓口後方に専門知識を持った方がいなくても大丈夫ですね。でもこれだけ大掛かりな業務改革となると、システム的にも大きく変わったのではないですか。
青山
まず営業店と事務集中センターの端末約1600台を、PCベースの富士通製高機能端末「UBT-SP」に入れ換えました。通常業務用のパソコン約2800台についても、お客さまの残高照会が行えるようにするなど機能アップを図っています。
これらの端末群の処理を支えるサーバとストレージ製品には、富士通のブレードサーバ「PRIMERGYブレード」と「ETERNUS」を採用しました。今回は事務の集中化だけでなく、各営業店に設置していたサーバ群の集中化も図ったのですが、単純に機器群を集めただけでは膨大な設置スペースが必要になってしまいます。その点、PRIMERGYブレードなら、大量のサーバ群をコンパクトに集約できる上に、金融システムに欠かせない高信頼性・高可用性も確保できます。さらに店舗数やデータ量の増加により負荷が高まった場合も、容易にシステムを拡張できます。
また、今回のシステムに採用した富士通の金融パッケージ「FBC」や「INTERSTAGE Application Sever」も、数々の高信頼システムで実績を積んだ製品であり、その機能や信頼性には大いに満足しています。
麻木
銀行ではセキュリティも重要なポイントになると思いますが。
青山
その通りです。従来はカードを端末に通してからオペレーションを行っていましたが、カードだとどうしても紛失などのリスクが伴いますし、管理するのも大変です。そこで今回の新営業店システムでは、指紋認証デバイスを新たに導入しました。これなら紛失の心配はありませんし、本人認証も確実に行えます。
麻木
セキュリティを高めつつ、使い勝手も向上したというわけですね。今回のパートナーに富士通を選ばれた決め手は何だったのですか。
飯尾
金融システムは社会的にも重要な役割を持つシステムですから、非常に高い信頼性が要求されます。その点富士通には、金融機関でも高信頼システムを数多く構築してきた実績があり、安心してシステムを任せることができます。
また、ビジネスの現場に存在する課題を見える化し、解決していくという、富士通の「フィールド・イノベーション」の思想も、当行の目指す方向性と合致していました。それに加えて、私たちの業務改革の取り組みを、熱意を持って支援してくれた点も大きかったですね。

麻木
新営業店システムに対する現場の方の評価はいかがですか。
鈴木
操作性が飛躍的に良くなったと好評です。従来の専用端末と異なり、新しい端末ではテンキーとマウスだけでほとんどの操作が行えます。キーボードを使わなくても済むので、システムに習熟する時間も非常に短いですね。パートタイマーの方の中には「マウスを使うのが初めて」とか「ダブルクリックの意味が分からない」という人もいます。それでも、一日講習を受ければ、ほとんどの操作を覚えられます。一週間もすれば、手元を見なくても操作できるようになりますよ。
麻木
それなら、お客さまへの対応スピードも早くなりますね。
鈴木
それに加えて、ミスを防止できる点も大きいですね。先ほど印鑑照合のお話がありましたが、通帳を入れ間違えた場合などもシステム側が画面上の色で教えてくれます。また、従来は専用端末のほかにパソコンを置いて諸規定の確認などを行っていたのですが、新しい端末は一台でこうした操作も行えるようになりました。
麻木
システムの導入効果という点ではいかがですか。
飯尾
既に稼働している営業店では、窓口での処理完結率が大幅にアップし、後方での伝票処理枚数が半減しました。試算では本システムを県内、県外を含めた180店を超える営業店に展開した場合、90人分以上の省力化になる、という結果が出ています。現在は全営業店への展開作業を進めている最中ですので、新システムの真価が発揮されるのはまだまだこれからです。しかし現時点でも、既に様々な場面で効果が挙がっています。たとえば省力化によって、今まで後方で事務処理に追われていたスタッフが、カウンターやロビーでお客さま対応に当たることが可能になりました。こうした取り組みを進めていくことで、よりきめ細かなサービスをご提供できるようになります。
また、営業店改革を推進していくための基盤が整ったことも見逃せません。既に稼働済みの店舗をモデルケースとして、富士通にモニタリング調査を実施してもらいました。これにより様々な改善効果が把握できただけでなく、「次の一手」を打つためのヒントも見えてきました。当行では2年前からBPR(Business Process Re-engineering)に取り組み、簡素化・集中化・システム化・無人化の取り組みを推進しています。新システムを活用することで、このBPRの取り組みをBPM(Business Process Management)へと発展させられると期待しています。とにかく無限の可能性を秘めたシステムだと感じていますね。
麻木
静岡銀行さんの取り組みによって、私たちが抱いている銀行のイメージも大きく変わっていくことになりそうですね。本日はどうもありがとうございました。
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