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最近では企業だけでなく、地方自治体・公共団体においてもITの導入・活用が加速しています。そこで今回は、数ある市町村の中でも、特に先進的な取り組みを行っておられる神奈川県・厚木市にお邪魔しました。
まず山口市長から、厚木市がどのような街なのかご紹介を頂けますか。
山口市長
厚木市は水と、緑と、太陽の似合う、にぎやかな街です。山間部にかけては丹沢山麓の秀麗な山並みが広がり、清流には鮎やカワセミが暮らしています。東京都心からわずか40分くらいの距離にも関わらず、厚木には豊かな自然環境が残っています。またその一方で、駅前にはにぎやかな繁華街があり、様々な大手企業が先端研究開発施設や生産施設を置いています。さらに高校や大学なども多く、研究学園都市としての側面もあります。こうした二面性を備えた街というのは、全国的にも珍しいのではないでしょうか。
都心近郊のベッドタウンというと、一般的には「昼間は人が働きに行って少なくなる」というイメージがあります。しかし厚木市では、昼間人口比率が116.6%にも上ります。つまり東京や横浜に通学・出勤する人よりも、ここに学びに来たり、働きに来たりする人の数の方が多いんですね。そういう意味でも、非常に活気あふれる街だと思っています。
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生活の場としても、学んだり働いたりする場としても、最適な環境を備えているというわけですね。IT化についても積極的に取り組んでいると伺いましたが。
山口市長
現代は情報化社会ですから、市民の方々にできるだけ迅速に情報をご提供したい。ITはそのための有効なツールとなります。特に厚木市は若者の街でもありますから、インターネットや携帯電話などの情報環境をもっと整備していくことが必要だろうと考えました。市や地域が提供する情報メディアと言えば、まず広報紙や回覧板などが思い浮かびます。もちろんこれらが便利に利用されていることは間違いありません。
しかし若い方の中には、忙しくてゆっくり紙メディアを読んでいるヒマがないという方も多いんですね。やはり行政としては、こうした問題を解消していく必要があります。

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確かに、若い人たちがじっくり市の広報紙を読んでいる姿というのはあまり思い浮かびません。
山口市長
その通りです。またITを有効に活用することで、情報提供以外にも、市民サービスの向上や行政の電子化・効率化など、様々なメリットが見込めます。
そこで2001年6月に有識者による「厚木市IT戦略会議」を設置し、翌年2月に「厚木市IT基本戦略」の提言をいただきました。ここでは「市民がITを積極的に活用できるまち」「すべての市民がITの恩恵を幅広く享受することができるまち」をコンセプトに、総合行政情報システム、消防通信指令システム、市立病院オーダリングシステム、ホームページリニューアルなどの施策を展開して参りました。
またもう一つのポイントとなったのが、汎用型インターネットサービス「マイタウンクラブ」です。このサービスでは、図書館の貸し出しや公共施設の予約、地域コミュニティー活動の支援など様々な機能を統合し、インターネットや携帯電話、公共施設に設置したKIOSK端末などから簡単に利用できるようにしました。
市民の方々が、より手軽に様々な活動に参加できるようにすることが狙いです。
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今回は非常に短期間でサービスを立ち上げられたわけですが、その理由とマイタウンクラブの概要について、プロジェクトの推進役を担われた情報政策課の森下課長と小路主任からお話を頂けますか。
森下 氏
ご承知の通り、ITの世界は非常に早いスピードで進化しています。従って情報化施策については、5年、10年といった長いスパンで考えていては、時代遅れになってしまう可能性があるのです。
そこでマイタウンクラブをはじめとする各種サービスについては、できるだけスピーディーにシステムを構築し、サービス提供を行うことを念頭に置きました。
小路 氏
マイタウンクラブには、まずサービスを構成する基本的なシステムとして、「図書館情報システム」「公共施設予約システム」「講座イベント予約システム」「公募・募集システム」「地域コミュニティ支援システム」「チケット予約システム」の6システムが存在します。そしてマイタウンクラブの大きな特徴と言えるのが、これらのシステムを「共通認証基盤システム」と呼ばれる利用者データベースとを連携させ、一度の登録ですべてのサービスを利用できるようにしている点です。
たとえば公共施設予約システムでは、厚木市と近隣の愛川町・清川村のスポーツ施設などの予約がネット経由で行えます。同様に講座イベント予約システムでは、地域の公民館などで行われている講座情報の確認と申込みが行えます。そしてこれらのサービスを利用する際に、それぞれのサービスで個別に登録手続きを行う必要はありません。最初に一度マイタウンクラブに登録しておけば、後はすべてのサービスがシングルサインオンで利用できます。
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一度だけ登録するだけでいいんですか。これまでは行政が提供するサービスというと、とかくこのサービスはあっちの課、そのサービスはそっちの係と、別々に手続きや登録が必要というイメージがありましたが。
小路 氏
私たちとしても、そういう従来型のサービスの弊害を打破したいという思いがあったのです。
以前は厚木市でも施設の予約に個別の登録が必要であったり、窓口や電話の予約は9時から17時までなど、様々な制限がありました。そこで目を付けたのがインターネットです。ネット経由のサービスなら、いつでも・どこでも、市民の方々が必要とするときに、必要なサービスをご提供できます。
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では、たとえば「仕事が休みだから午前中はこの講座に参加して、午後はテニスコートでスポーツをしよう」などと考えた時に、いちいち全部の窓口に行かなくても全部ネットで手続きが完結できてしまうのですね。
森下 氏
今回マイタウンクラブの構築にあたって工夫したのが、既存の図書館情報システムの利用者データベースと施設・講座予約システムの利用者データベースを統合したことです。現在の状況を見ると、これらのシステムはそれぞれ別々に登録が必要な市町村がほとんどです。
しかし図書館情報システムの利用者データベースは、市町村が保有する各種データベースの中でも、もっとも登録件数が多いものの一つ。これをマイタウンクラブに統合することで、より多くの市民の方々が、手軽に他のサービスも利用できるようになるというわけです。
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つまり図書館で利用者登録をしておけば、スポーツ施設も借りられるし、講座やチケットの予約、申込みもできると。それは市民の方にも喜ばれますね。
小路 氏
マイタウンクラブの登録者数は、サービス開始から1年10ヶ月で約7万人、人口比で約1⁄3にまで達しました。これも共通認証基盤を作って図書館情報システムと連携させた点が大きいと思っています。やはり多くの方々に利用して頂かないことには、サービスの効果も半減してしまいますから。登録者数を増やすための仕組み作りにはかなり注力しました。
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マイタウンクラブを構築するにあたっては、富士通をパートナーに選ばれたわけですが、それはどのような理由からですか。
森下 氏
富士通には数多くの自治体向けソリューションを提供してきた実績があり、今回の提案においてもきめ細かく具体的な提案をしてくれました。また従来の図書館情報システムの構築を手がけたのが富士通だったため、利用者データベースの統合を安心して任せられた点も大きかったですね。
小路 氏
また、もう一つのポイントとなったのが、マイタウンクラブのベースとなった富士通の自治体向けパッケージ「e-Pares」です。マイタウンクラブでは非常に幅広い範囲のサービスを網羅していますが、e-Paresは汎用性が高いため様々な要件に柔軟に対応することができました。導入にあたっては各社の自治体向けパッケージの比較・検討も行いましたが、その中でも機能的な満足度はかなり高かったですね。
またマイタウンクラブのコンセプトを実現するために、パッケージの基本機能だけでなく、カスタマイズもかなり加えています。富士通はこうした作業についても、強力なバックアップ体制を敷いてくれました。

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マイタウンクラブの導入効果はどのようなところに現れていますか。
小路 氏
まず、地域コミュニティー活動の活性化が図れたという点です。
たとえば地域で活動する団体・サークルを例に取ると、以前は会員募集などの情報提供手段が広報紙や公民館の掲示板などしかなく、市に登録している団体やサークルの数も30~40程度でした。
しかし現在では1400を越える団体やサークルがマイタウンクラブに登録されています。しかも活動内容の紹介やイベント案内までもネットで行えるのです。また、講座イベントの利用者増加にもつながっています。講座イベントの内容にもよりますが、中にはネット経由の申込みが5割を越えるものもありますよ。
森下 氏
たとえば公民館で行う講座イベントなどでは、従来はその公民館の近隣の方がメインの参加者となるケースがほとんどでした。しかし最近では、自宅から遠い公民館の講座イベントに参加する方も増えたと聞いています。面白そうな内容だったら、ちょっと足を伸ばしてみようかと思う方が増えたわけですね。これは私たちにとっても非常に嬉しいことです。
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講座イベントを主催する方はより多くの人々に告知できるし、利用者としても手軽に参加できる。こうした利便性の高さが、そうした効果につながっているのでしょうね。
小路 氏
その通りだと思います。公民館などの予約についても、今までは参加者同士で連絡を取り合ってスケジュールを調整し、それからまた施設予約の手続きを行うといった煩雑さがありました。
しかし今では、「喫茶店などに集まって話をしながら、その場で携帯電話を使って施設の空き状況確認や予約ができるようになった。」と大変好評を得ています。しかもそれが夜であったとしても、まったく問題なく手続きが行えます。つまり市民の方々それぞれのライフスタイルに合わせて、自由にサービスをご活用頂けるわけです。
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マイタウンクラブをはじめとする様々なサービスを実現されたわけですが、最後に将来に向けた展望について伺えますか。
山口市長
昨年は市制50周年を機に「電子市役所宣言」を行いましたが、厚木市ではITによるまちづくりを今後も進めていきます。今年度、日経が調査した全国自治体の電子化進ちょく度調査で総合3位にランキングされるなど、その成果も着実に現れています。今後もこうした取り組みをさらに強化し、より住みよいまちづくりを推進していくつもりです。
また、人と人とのふれあいも大事にしたいと考えています。ITがもたらすメリットは高く評価していますが、やはりコミュニケーションの基本は人と人とがフェース・トゥ・フェースで話し合うことです。人のぬくもりと生活感が感じられ、ご高齢の方やハンディキャップを持つ方々も快適に暮らせる。そんな街を創り上げていきたいですね。
こうした活動を支援するツールとして、ITを効果的に取り入れていきたいと思います。
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長年の伝統とITが融合することで、新しい時代のまちづくりが生まれるというわけですね。
本日はどうもありがとうございました。
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