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麻木
今回ナレッジ・マネジメント・システムを導入されたわけですが、その背景には今お話されたような内容が関係しているのでしょうか。
加藤
その通りです。我々はゴムを扱うことが多いのですが、ゴムの配合には料理と似た部分があります。なにしろ要求特性に合った素材を作るためには、10種類以上の材料を、混ぜ合わせたり加熱・加圧したりしなくてはなりません。また配合の順番や加熱・加圧の時間が変わっただけで、製品の仕上がりに大きな差が出ます。
いきなり一流のシェフにはなれないように、一流のゴム配合技術者になるには長い時間がかかります。経験主義の時代には、5年から10年かかるのが普通でした。しかしスピードが要求される現在では、そうした悠長なことは言っていられない。ベテランの知恵を少しでも速く若手技術者に伝えて、開発スピードを上げていくことが重要です。そのためには、知識や知恵を共有できるシステムが不可欠でした。
齊藤
たとえば若手技術者が新しい材料や技術を研究し、その結果を報告会などで発表したとします。ところがそこで初めて「その件については昔一度検討したが、こういう問題があって中止したのだ」という話を聞いたりするわけです。もしこうした情報が事前に分かっていたら、違う技術者が同じことを繰り返す必要はなくなります。ナレッジの共有化を推進することで、過去の実績情報を効果的に活用でき、作業手順の効率化も図れる。そんな世界を目指したいと考えました。
麻木
以前の環境のままだと、そうしたことを実現するのは難しかったというわけですね。
齊藤
以前は基本的に紙を中心に業務が廻っていましたから、自分に必要な情報をすぐに探し出すことができませんでした。当部門で発行される文書の数は、年間2,000件以上にも上ります。手作業でこの中から情報を探し出すのは至難の業です。また業務の各プロセスで必ず実施すべき作業があるのですが、これも紙ベースの管理だと抜けがあっても分からない。この点も大きな問題でした。
麻木
業務のあり方を今までとは変えてしまう重要なプロジェクトだったと思うのですが、そのパートナーに富士通を選ばれた理由は何だったのでしょう。
齊藤
これまでの問題を解決するためには、作業手順と関連文書を紐付けで管理できること、そして、作業の進捗を明確にでき、抜けている作業や文書がないかをすぐに確認できるようにする必要がありました。
今回導入したプロセス支援型のナレッジ・マネジメント・システムでは、進捗がビジュアルで把握でき、抜けている作業や文書があったら画面上ですぐに確認できます。また検索エンジンの「Accela BizSearch(アクセラ ビズサーチ)」も非常に強力で、大量の文書を高速に検索することができます。こうした点が決め手になりました。
加藤
もう一つは富士通社内でも利用されている製品であるという点です。自社でも使っているのなら、機能強化や導入後のサポートについても安心できます。また富士通には長年にわたって当社のシステムを支えてもらっていますので、任せても大丈夫だろうという信頼感もありました。
麻木
他の製品との比較なども行われたのですか。
齊藤
設計データなどを管理するPDM(Product Data Management)系の製品も、検討しました。ですが当社の要件とは少し方向性が違っていましたね。たとえば当部門では図面管理の機能は不要であるなど、使わない機能が多すぎる。またその一方で、過去の配合データを蓄積した「配合データベース」との連携を行いたいというニーズもありました。その点、富士通から提案されたシステムには、当社にとって必要な機能がうまくまとまっており、使い勝手も良さそうでした。
麻木
構築上ご苦労された点などはありますか。
齊藤
導入作業は現場の若手主体で行ったのですが、基本的に全員が化学屋、材料屋であり、ITに関しては素人も同然です。富士通に当部門の業務を知ってもらうと同時に、我々自身も勉強しなくてはなりませんでした。この辺が少々大変でしたね。もっとも化工品部門の情報システム部門もしっかりバックアップしてくれましたので、比較的スムーズに作業を進めることができました。
麻木
実際のシステムはどのような形で利用されているのですか。
齊藤
ナレッジ・マネジメント・システムについては、開発テーマごとにテンプレートを利用して作業手順シートを作成し、ここに必要な作業と業務フローをすべて記載しています。また配合アイデアや報告書などのドキュメント、配合データベース上の試験資料などの関係情報もすべて紐付けされていますので、画面上をクリックするだけで元の情報に遡っていくことができます。さらに文書内の情報を特定のキーワードで検索したい場合には、「Accela BizSearch(アクセラ ビズ サーチ)」を用いて全文検索を行います。
麻木
膨大な書類の中から時間をかけて探さなくても、必要な情報に確実にたどり着けるようになったわけですね。