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麻木
ブリヂストンさんと言えばまずタイヤが思い浮かびますが、化工品部門ではどのような製品を作られているのですか。
加藤
化工品部門では、工業用資材、自動車部品、土木・建築資材、OA部品など、ゴム・ウレタン製の各種資材の製造を手がけています。より具体的には、自動車部品ならエンジン・サスペンション用のゴムマウントやシートを構成するウレタンなどを、OA部品ならプリンタに内蔵されているゴムローラーなどを製造しています。
麻木
では私たちも、気付かないうちに化工品部門でお作りになった製品を利用しているのですね。
加藤
タイヤと違って自社ブランドで世に出るものではありませんから、一般にはあまり意識されないことが多いです。しかし化工品部門では、今挙げた以外にも多岐にわたる製品を製造しています。たとえばタンカーが原油の積み卸しに利用するマリンホースの分野では、世界トップクラスのシェアを獲得しています。また、環境対応の製品にも力を入れており、製造工程でフロンを使用しないノンフロンタイプのウレタン製断熱材なども開発しています。
麻木
化工品材料開発部ではどのようなお仕事をされているのですか。
加藤
商品企画は販売部門と開発部門が中心になって行いますが、そこで企画された商品の要求特性を満たす材料や複合化技術を開発するのが化工品材料開発部のミッションです。また実際の製品は工場で生産しますから、開発した材料がちゃんとラインで流れるように量産性を確保するのも我々の仕事です。
麻木
以前と比べてビジネス環境の変化などはありますか。
加藤
昔はどちらかといえば土木・建築資材など重厚長大系の商品が多かったのですが、最近では自動車部品やOA部品の占める割合が増えています。すると今までと大きく変わってくるのが、開発のスピードです。皆さんもご承知の通り、パソコンやプリンタは3ヵ月や半年といったサイクルで新製品が登場します。当然部品を供給する側としても、このスピードに追随していかなくてはなりません。今まで通りのやり方ではとても間に合いませんので、いかに業務プロセスを改革するかが大きな課題になっています。
麻木
今回ナレッジ・マネジメント・システムを導入されたわけですが、その背景には今お話されたような内容が関係しているのでしょうか。
加藤
その通りです。我々はゴムを扱うことが多いのですが、ゴムの配合には料理と似た部分があります。なにしろ要求特性に合った素材を作るためには、10種類以上の材料を、混ぜ合わせたり加熱・加圧したりしなくてはなりません。また配合の順番や加熱・加圧の時間が変わっただけで、製品の仕上がりに大きな差が出ます。
いきなり一流のシェフにはなれないように、一流のゴム配合技術者になるには長い時間がかかります。経験主義の時代には、5年から10年かかるのが普通でした。しかしスピードが要求される現在では、そうした悠長なことは言っていられない。ベテランの知恵を少しでも速く若手技術者に伝えて、開発スピードを上げていくことが重要です。そのためには、知識や知恵を共有できるシステムが不可欠でした。
齊藤
たとえば若手技術者が新しい材料や技術を研究し、その結果を報告会などで発表したとします。ところがそこで初めて「その件については昔一度検討したが、こういう問題があって中止したのだ」という話を聞いたりするわけです。もしこうした情報が事前に分かっていたら、違う技術者が同じことを繰り返す必要はなくなります。ナレッジの共有化を推進することで、過去の実績情報を効果的に活用でき、作業手順の効率化も図れる。そんな世界を目指したいと考えました。
麻木
以前の環境のままだと、そうしたことを実現するのは難しかったというわけですね。
齊藤
以前は基本的に紙を中心に業務が廻っていましたから、自分に必要な情報をすぐに探し出すことができませんでした。当部門で発行される文書の数は、年間2,000件以上にも上ります。手作業でこの中から情報を探し出すのは至難の業です。また業務の各プロセスで必ず実施すべき作業があるのですが、これも紙ベースの管理だと抜けがあっても分からない。この点も大きな問題でした。
麻木
業務のあり方を今までとは変えてしまう重要なプロジェクトだったと思うのですが、そのパートナーに富士通を選ばれた理由は何だったのでしょう。
齊藤
これまでの問題を解決するためには、作業手順と関連文書を紐付けで管理できること、そして、作業の進捗を明確にでき、抜けている作業や文書がないかをすぐに確認できるようにする必要がありました。
今回導入したプロセス支援型のナレッジ・マネジメント・システムでは、進捗がビジュアルで把握でき、抜けている作業や文書があったら画面上ですぐに確認できます。また検索エンジンの「Accela BizSearch(アクセラ ビズサーチ)」も非常に強力で、大量の文書を高速に検索することができます。こうした点が決め手になりました。
加藤
もう一つは富士通社内でも利用されている製品であるという点です。自社でも使っているのなら、機能強化や導入後のサポートについても安心できます。また富士通には長年にわたって当社のシステムを支えてもらっていますので、任せても大丈夫だろうという信頼感もありました。
麻木
他の製品との比較なども行われたのですか。
齊藤
設計データなどを管理するPDM(Product Data Management)系の製品も、検討しました。ですが当社の要件とは少し方向性が違っていましたね。たとえば当部門では図面管理の機能は不要であるなど、使わない機能が多すぎる。またその一方で、過去の配合データを蓄積した「配合データベース」との連携を行いたいというニーズもありました。その点、富士通から提案されたシステムには、当社にとって必要な機能がうまくまとまっており、使い勝手も良さそうでした。
麻木
構築上ご苦労された点などはありますか。
齊藤
導入作業は現場の若手主体で行ったのですが、基本的に全員が化学屋、材料屋であり、ITに関しては素人も同然です。富士通に当部門の業務を知ってもらうと同時に、我々自身も勉強しなくてはなりませんでした。この辺が少々大変でしたね。もっとも化工品部門の情報システム部門もしっかりバックアップしてくれましたので、比較的スムーズに作業を進めることができました。
麻木
実際のシステムはどのような形で利用されているのですか。
齊藤
ナレッジ・マネジメント・システムについては、開発テーマごとにテンプレートを利用して作業手順シートを作成し、ここに必要な作業と業務フローをすべて記載しています。また配合アイデアや報告書などのドキュメント、配合データベース上の試験資料などの関係情報もすべて紐付けされていますので、画面上をクリックするだけで元の情報に遡っていくことができます。さらに文書内の情報を特定のキーワードで検索したい場合には、「Accela BizSearch(アクセラ ビズ サーチ)」を用いて全文検索を行います。
麻木
膨大な書類の中から時間をかけて探さなくても、必要な情報に確実にたどり着けるようになったわけですね。
麻木
導入後の効果についてはどうでしょうか。
齊藤
まず過去の経験やノウハウなどの情報が、容易に得られるようになったことが挙げられます。先にも述べたように、今までは昔誰かが既にやったことを、もう一度繰り返す可能性がありました。しかし現在では、過去の経験を踏まえて次のステップからスタートすることができます。しかも「何をやったか」ということだけでなく、「何のためにやったか」というプロセスとも紐付けて管理できる。開発のスピードを上げていく上で、これは大きなメリットになります。
加藤
技術開発を行ううえで、実は過去の失敗を知ることがとても重要なのです。でもこうしたことはなかなか難しい。釣り師と同じで普段は釣れた時の話、つまり成功した時の話しか出ませんからね(笑)。しかしシステムによって属人的な暗黙知を組織知に変えられれば、比較的経験の浅い若い技術者でも、まっすぐゴールに向かえます。
齊藤
また作業手順が可視化できたことも大きいですね。作業の進捗や状況が一目で把握できますから、業務に抜けが生じる心配がありません。紙文書とファイルでプロセスを管理していた時代と比べれば、大幅に管理精度が高まりました。そもそも情報を探したり、プロセスを管理したりというのは、業務のコアな部分ではないわけですから、なるべくそこに手間をかけたくない。その点現在では、より本業に集中できる環境が実現できました。
加藤
開発においてはコストも大きな問題ですが、この点についてもメリットが出ています。情報検索などに要する時間が大幅に減りましたので、年間1,000万円以上の削減効果が発揮できています。
麻木
まさに期待通りの効果ですね。今後についてはどのような展望をお持ちですか。
齊藤
現在は承認プロセスがまだ紙ベースなので、将来的にはこれも電子化し、文書管理をすべてシステム上で行えるようにしていきたい。また紙のまま残っている過去データについても順次電子化を行い、情報の充実を図っていきたいと思います。
加藤
こういうシステムは導入して終わりではなく、永遠に改善を続けていくものだと考えています。そういう意味では富士通の今後のサポートにも、大いに期待しています。
麻木
システムに蓄積された情報を活用することで、これまでにない画期的な新商品がどんどん登場してくることでしょうね。本日はありがとうございました。
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